2016年5月20日金曜日

医師になるまで in Australia

こんにちは、56月組のAです。
私ともう一人、5月組の学生はGWの始まりとともにCanberraに到着し、52日からCanberra Hospitalでの実習を開始しました。着いてからは4月組の2人にたくさん助けられました。ありがとう! そんな二人もそろそろ帰国です。寂しくなります。。
(病院外観)


さて、私は、5月は血液内科、6月は神経内科で実習をさせていただく予定となっています。大学病院で回らない2科をローテートさせていただけるのは本当にありがたいことです。血液内科の実習内容や先生方の様子等についてはまた別途報告していけたらと思います。
実習を開始した週は配属されたチームの患者さんが少なかったため、若手の先生方とお話しする時間が多くあり、こちらの医療システム等について色々とお聞きしたので私の理解している範囲で書いていこうと思います。

現行の日本のシステムでは、
高校→医学部(6年間)+国試→初期研修医(2年)→後期研修医(専門課程)→専門医
という形がメインだと思います。(新専門医制度で変わった点もありそうですが


一方、オーストラリアでは、下記のような流れになっているそうです。

参考:https://ama.com.au/careers/becoming-a-doctor
(話を聞いているうちに混乱してきたのでGoogle先生に聞いてみました。)

医学部には高校からストレートに医学部に行く人(undergraduate)と、一般大学で34年勉強してから医学部に入る人(graduate)の2パターンがあります。学校によってどちらをundergraduateの入学を受け入れているかどうかは異なるようです。ちなみにANUの医学部はgraduateのみを受け入れています。
また、卒業試験はありますが、国家試験のような全国統一の試験はないそうです。(うらやましい・・)

卒業後は、まず1年のInternship(初期研修医に相当?)と1年以上のresidencyがあります。Internの間は決まった期間いろいろな診療科をローテートします。Residencyは、人によって期間が異なっており、専門医取得課程に応募してそれが承認されるまでのようです。どの診療科をどれくらいローテートするかは個人によって違うような印象を受けました。

専門医の課程は主にGP(総合診療医、家庭医に相当?)、Medicine(内科)、Surgery(外科)にわかれています。こちらの医療システムでは、どの患者さんもそれぞれ担当のGPがいて、専門外来(内科or外科)へはGPからの紹介やフォローアップという形での受診となっていることが特徴です。各入院患者さんの病室にも、患者さんの名前、GPの名前、入院している診療科での外来担当医の名前が書いてあることが印象的でした。
Registrarになってからは、一定期間の研修を行ったのち、試験を受けてAdvanced Trainee(略称AT)に、さらに専門医試験を受けるとconsultantという扱いになります。内科に関してではありますが、ATconsultantは各診療科の専門医として現場で働いています。
病棟は主にregistrarresidentinternから構成されるチームで回されており、consultantの先生が大きな決定は下す形になっていました。

つらつらと書いてきましたが、専門医として働くまでの課程や医療システムそのものの違いなどを実際に見たり聞いたりしながら比較してみると結構おもしろいなと思いました。

ちなみに一番うらやましいと思ったのは、日中勤務の医師の勤務時間が16:30までで、多くの先生が17時頃には「また明日ね!」と言いながら帰っている点です。QOL高い・・



A.

2016年5月8日日曜日

サイノウノカタマリ


日本は暑くなってきたそうですが、みなさまいかがお過ごしですか?
ANU4・5月組のまのです。

最近は小児外科で毎日早起きをしており、なかなかハードですが充実した日々を送っています!

私が学んでいるのはCanberra Hospitalのメインビルディング

(http://www.health.act.gov.au/our-services/canberra-hospital-campus)

とはまた違うところで、The Centenary Hospital for Women and Children という小児科と産婦人科に特化した病院です。


(http://www.health.act.gov.au/our-services/canberra-hospital-campus)

 2年ほど前にできたばかりの病院で、とても綺麗で広々とした環境になっています。また、病院の中庭には大きな遊び場もあり、小児病棟ならでは、という感じです。


(http://www.georgegreganfoundation.com.au/playgrounds/canberra/)

ここで、月・木・金は手術に参加、火曜は外来見学を行いながら学んでいます。(水曜日はUniversity Teaching Day!)小児外科の先生方は非常に教育的な先生方が多く、外来でも患者さんに説明するのと同じくらい我々学生にも説明をして下さいます。また子どもたちはみんな可愛く、日々、天使たちに癒やされています(笑)


さて、そんなバタバタな毎日を送っているわけですが、先日Med Revue 2016"Murder She Prescribed"にお邪魔してきました!これは毎年ANUのMedical Schoolの学生によって行われているミュージカル企画で、オリジナルの台本と有名なミュージカルソングの替え歌(医学生あるある仕様)によって構成されています。学生がやっているとは思えないクオリティであっという間の3時間でした。私たちは三日間の開催のうち、千秋楽である最終日におじゃましたのですが、舞台と客席が一体となり、最後はスタンディングオベーションが起きるなど、ザ☆青春を感じることができました。全てのANU Med Revue 2016の関係者の方に大きな拍手を送りたいと思います!



さて、また明日から実習スタートです!残り2週間、駆け抜けたいと思います(キラーン)

まの

2016年5月4日水曜日

(ちょっとまじめな)実習報告 その1


 おひさしぶりです!
 ANU派遣学生4・5月組のまのです。

 こちらは朝晩の冷え込みが厳しくなり、冬の到来を感じさせる気候になってきましたが、5・6月組の学生2人も到着し、4人にパワーアップして楽しく過ごしています。さて、先々週の4月22日で私の最初のローテーションである老年病内科での実習が終了しましたので、簡単な実習報告をさせていただきます。


 私は、329日から422日までの4週間、Canberra Hospitalにある老年病内科(Geriatrics)で臨床実習をさせていただきました。老年病内科には様々な基礎疾患を持った高齢の患者さんがたくさんいらっしゃり、頭の先からつま先まで全身を診ることが出来たため大変勉強になりました。

一週間のスケジュール

 




































実習内容 *は見学型実習
1:Medical Handover
 毎朝講堂で行われている病院全体の引き継ぎのようなもの。前日に救急部門に搬送された症例について解説が行われ、自分が出会っていない症例についても学ぶ事ができる。
2:Geris Handover
 老年病内科で毎朝行われる引き継ぎであり、入院している全患者さんの基本的な情報や今後のプランをスタッフ全員で共有する。
3:Ward Round
 自分の所属グループの回診に参加する。回診では患者さんの状態について先生から質問を受けたり、手書きカルテを書いたり、身体診察をとったりと積極的な姿勢が求められる。
4:Ward Work
 病棟で学生が行える手技は多岐に渡っており、先生方の指導のもと、比較的自由にやりたいものをやらせてもらうことが出来る。
 (病歴聴取/身体診察/認知機能検査(MMSE, RUDAS)/採血/包交/尿道カテーテル挿入など)
5:Short Case
  実際の患者さんに協力して頂き、身体診察を行った結果を先生にプレゼンテーションする。胸部、腹部、脳神経など回ごとにテーマが決められており、診察の取り方だけでなく結果の伝え方まで細かくチェックしていただくことが出来る。
6:Education Meeting
 薬剤師、ナース、他科の医師などによるミニ講義のようなもの。老年病内科に関連するトピックについて、コメディカルからの意見をもらうことの出来る機会であり、学生も質問可能。
7:Tutorials/Mini Case
 老年病内科では学生と教員の少人数制のチュートリアルの機会が大変多く(4)、ケーススタディ、心電図講義、担当症例プレゼンテーションなどについて学ぶことが出来る。



 全体として強く印象に残ったことは.....


とにかく自由!!!



 時間が決まっているチュートリアルなども多くありますが、他の時間は比較的自由であり、手技がやりたければ手技を、図書館で回診の復習をしたければ図書館へ、と自分の興味に合わせて自由に実習を組み立てることが出来たことがとても印象に残りました。また、先生方も生徒個人個人の興味に気を配ってくださり、私が手技をやってみたいと伝えてからはそのような機会を多く作ってくださいました。

     老年病内科、後輩のみなさんにはオススメの科です。


 先週からは小児外科に移り、早起きオペ三昧の日々を送っています。またみなさんにご報告が出来るように残り2週間弱、頑張っていきたいと思います!


まの

2016年5月2日月曜日

ネバダの実習についてーICU編


こんにちは、ラスベガスのUniversityMedicalCenterUMC)で実習させていただいているホナミです。ざとちゃんがERについて書いてくれたので、私はICUについて書いてみようと思います。



ICUでは、基本的に、現地の学生と分け隔てなく扱っていただき、彼らに課されるプレゼンやレクチャーもまったく同様に体験することができました。

一日の流れとしては、朝6時ごろ病院につき担当患者さんの夜間の経過の把握とプレゼンの準備をします。写真のシートにある項目(バイタル、呼吸器の設定、使用している薬など)をカルテを見ながらうめて、Neuro, Pulm, CV・・・と臓器システムごとにアセスメント・プランを作っていく形です。抗菌薬や輸液の種類、オーダーすべき輸血の量やタイミング、人工呼吸器のセッティングなどかなり具体的な内容まで考えねばならず一苦労でしたが(しかも何しろ眠い・・・)、朝回診が始まる前にResidentの先生にひととおりさらっていただき解説していただけるので安心です。

朝の回診で使うICU ATTENDING NOTE



その後朝回診での本番に臨みます。この朝回診なのですが、長い時は午後2時ごろまで続きます。ざとちゃんが先日のブログに書いてくれたように、UMCのカバー範囲は広大なため、UMCICUの規模も広大なのです。しかも非常に細分化されており、(Medical ICU, Surgical ICU, Neuro Surgical ICU, Coronary Care Unit etc….)各フロアをすべて回り終わるころには足が棒です。その分、肝硬変などの内科的な疾患から術後の患者さんに至るまで様々な患者さんを担当できて面白かったです。しかも、先生方や現地の学生が回診中に折に触れてチョコやクッキー、ポテチなどをくれたりするので体重は残念ながら減りませんw 
お昼は、先生方や学生と一緒にカフェテリアに行きます。こちらのカフェテリアでのおすすめはハンバーガーです!


具が多すぎてパンがずり落ちちゃってますが、とってもおいしいのです。
その名もUMCBurgerです!

午後は胸腔ドレナージなどの手技の見学をしたり、先生方にレクチャーをしていただいたり、ERからICUに入院することとなった患者さんの診察をResidentの先生とともに行ったりと変則的でした。
ちょうどヘリコプターが着陸するところを慌てて撮りました

アメリカには日本でいう3次医療を担う施設の数が少ないため、UMCのような高次救急医療の拠点には他機関からヘリコプターなどで搬送されてくる患者さんも多くなります。しかも、経済的理由で病院から足が遠のきがちになり、重症になってやっと搬送されるパターンも多いために、非常に複雑な病状の患者さんが集中し、UMCIntensivistたちは超多忙なのだそうです。ですが、現場ではGooda Job!などの明るい言葉が圧倒的に多く、互いに励ましあう雰囲気があります。私のような見慣れない顔を見つけると、どの方も積極的に話しかけてくださり、さらには「困ったことはない?」と気遣ってくださるのも非常にありがたいです。おかげさまで楽しくICUローテーションを終えることができました。来週からのERも頑張ります!