感染症科(こちらでの正式名はDivision of Infectious Diseases and Tropical Medicine、所属しているスタッフはID departmentと呼んでます)、日本では聞き慣れませんよね。 そもそも感染症科を標榜する医療機関が少ないうえに、感染症専門医はあの病理医よりも数少ない希少な存在のようです。
タイ×感染症で皆さんは何を思い浮かべますか?・・・やっぱり、そうですよね、HIVです。HAARTという薬物療法が広まったり、HIVの感染対策が進んでいることでAIDS死亡率/HIV罹患率は減少傾向にあるものの、日本とは比べ物にならないほどの数のHIV陽性者がタイにはいます。
その他にもデング熱、C型肝炎(HCV)、結核、種々の薬剤耐性菌など、ホットな感染症は枚挙に暇がありません。
そんななか、感染症科のドクターたちは日々外来診療と病棟回診、勉強会などで大変忙しそうです。実習はこれらの業務に同行しながら、各症例について学んでいく形で進行しています。少し紹介しますと・・・
感染症外来(ID clinic)…週に1回の感染症科一般外来。1つの大きな部屋の中に仕切りが幾つもあり、卒後3-5年目のresidentから上級医の先生方まで、総出で外来をしています。先週と今週では、・薬剤耐性結核 ・アスペルギルス(カビの1種)副鼻腔炎による眼窩先端症候群 ・細菌性脳膿瘍(膿の塊) ・結核性脊椎炎 といった症例を見ました。
HIV外来(HIV clinic)…週に1回のHIV陽性者のための専門外来。こちらは卒後6,7年目以降位の先生方が担当しています。身体診察や血液中のCD4+細胞数、HIVウイルス量の推移から、患者さんの状態を把握しているようです。HIV陽性でも、薬でコントロールされていれば普通の生活を送れる(かどうかは想像ですが)ことがよく分かる外来です。
HIV回診(HIV round)…外来とは変わって、HIV陽性で日和見感染や悪性腫瘍に罹患した、つまりはAIDSの患者さんへの回診です。AIDS発症と関連があるのか分かりませんが、色々と社会的な問題を抱えている患者さんがいるなあ…といった印象です。
病棟回診(Service round)…臨床各科より感染症科へ相談があり、それに対応する形式の回診。なので外科、内科、ICU、一般病棟、VIP病棟とあちこち巡ります。(Siriraj病院は、敷地は医科歯科大学と同じ位ですが、やたらと建物が多いので慣れないとなかなか大変です) 発熱に関する相談が多いのですが、たまにA型連鎖球菌による壊死性筋膜炎など教科書のような症例も見かけます。
実習中はマヒドン大学の4年生や米国から来ている学生、医師などとの交流もあり、拙い英語で苦労していますが大変刺激的な毎日です。
通路やエレベーターの扉など、 院内の色んなところで手指消毒が アピールされています |
週末に訪れた"Snake Farm"にて 虹色に光る蛇… 職員がニコニコ紹介してました |
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