2016年6月5日日曜日

ゆーえすえむえるいー

今回は特集(番外編)ということでUSMLE STEP1について書きたいと思います。
興味の有る方はどうぞー  (応募には必要ありません)

注!)医学部5年の終わりにSTEP1を受けただけのペーペーの学生が書いております。間違ったこと、バイアスのかかったことが書いてある可能性があります。今の時代、勉強する上で参考になる素晴らしいサイトが数多く存在しますので、数多くの記事の一つとして参考にしてください。

 ここではその試験について詳しく述べるというよりは僕が対策・勉強する上でこれだけは知っておいたほうがいいかも!と思ったことを書きたいと思います。

 まず、USMLEとはUnited States Medical Licensing Examinationの略で米国医師国家試験のことです。これまでにも医科歯科の卒業生を含め、数々の日本の先輩医師の方々がSTEP1 and/or STEP2 CK/CSを受験され、さらにその一部の先輩がSTEP1〜3を利用しこちらアメリカで臨床をされている、というものです。

 ちなみにこの医科歯科の海外実習では、全く必須ではなく応募にも関係もありませんが、聞くところによれば東大や千葉大などでは海外臨床実習をする上で一部の提携先では必須のようですね。

 ここではそのうち、目標設定、対策教材にフォーカスします。

0. 目標設定

 STEP1を受ける上で何が重要かと聞かれれば、これが一番重要な気がします。
 基本的にSTEP1も試験ですので、時間をかければ解く問題数は増え、問題を沢山解けば点数は上がります。つまり、点数と時間はある程度相関するものではないかと思います。

 また時間があれば書きたいと思いますが、こちらに来ていらっしゃるIMG (International Medical Graduate, アメリカ以外の国の医学部を卒業した人)の先生とお話をした限りでは、みなさんほぼ共通したこととしては「USMLEのSTEPの各試験、特にSTEP1の点数は取れて当たり前」、という認識があります。しかもこの当たり前というのは、おおよそ全受験者の上位10%以内をいうらし..(^_^;)

 とはいえ、STEP 1で高得点を取るには(特に僕のような帰国子女でない純国産の場合)やはりそれなりの気力と時間を以てして取り組む必要はあると思います。というのは、一度合格してしまうと、もう一度受け直すことができないからです(しかし、これはギリギリで合格するなら落ちたほうがいい、という議論にはなりませんのでご注意)。

 ただ、その一方で、例えばSTEP 2CK (Clinical Knowledgeの略、知識試験の方)に関してはSTEP 1の知識がかなり使えるということなので、STEP1にSTEPの3つのテストの中で重きを置くべき、ということは知っておくとオトクかもしれません。

 また、もし米国で臨床する場合、希望する科によって合格者の平均点数が異なります。これには、簡単には例えば①QOLの高さ、②給料の高さ、がその診療科の人気度に関わり、その人気度とポジションの数の相対的なバランスにより決まりますので、ネットで確認してみてください。

 まぁ色々書きましたが折角受けるなら点数が良いほうがいいというのが世の常です。目標を設定するときは、今の時点では叶いようもない目標に向かって走り続けるのも一興ででしょうか^ ^(僕の場合はもはや向こう見ずという言葉が正しかったですが)

 以下はとりあえずIMGでも点数ではそこまで困ることはないだろう、程度の勉強法です。ずば抜けて良い点数を目標にされる方はさらに改善が必要かと思われますので、ご注意下さい。

1. 対策教材

基本的に使用した紙教材

右の写真中の教材を左から、簡単に説明していきます。
  1. FIRST AID
  2. UWorld
  3. Kaplan Q bank (book)
  4. Firecracker
  5. BRSシリーズ
  6. NBME模試

 一応おすすめ度と目安の期間を示しますが、僕は若干時間をかけすぎる傾向にあったので(^_^;)、参考程度でお願いします。


1. FIRST AID (以後FA) 

 オススメ度:★★★★★  目安: 2-3ヶ月

 STEP1を受ける方にFAを使おう!というのは釈迦に説法かもしれません。受けなくても興味持ってる人なら買ったことがあるのではないでしょうか?そのくらいのバイブルとも言える本です(ただ、流行りのオンライン講座を視聴される場合はこの限りではないかもしれません)。なお、空白が比較的多いので、そこに問題で得た新しい知識(以下の②③など)を愚直に書き込む形で使いました。
 基本的にはこのFAをまず通読し概観を捉え、FA Q&AやUWorldを解きつつFAに戻って確認するのが良いでしょう。

 よく巷では「FA見てみたけど、あんま内容ないよね」と聞きます。確かに僕も昔そう思うことが時々ありましたが、今になって思うと、さっと見ただけの場合、自分がよく知っている内容に目が行きやすいだけなのではないかと思います。『そんな程度』のFAでさえ、全ての内容をテスト当日に思い出せる状態にしておくのはよっぽどの記憶力と勉強量がないと厳しい、と思うくらいが丁度良いのかもしれません。

2. UWorld 

 オススメ度:★★★★★  目安: 3ヶ月
 このご時世、恐らくSTEP1を受験する人でこのオンライン問題集を使わない人はほぼいないでしょう。本当にこれをマスターすれば簡単に平均点に到達すると思います。まぁそれが大変なのですが。。僕は問題を解く際にその疾患の項目をFAで読み、新しい知識があればFAに記入して行きました。このようにして完成したFAは本当に試験前に役に立ちます。

 ちなみに、UWORLDは本当に複製については厳しく、バックグラウンドでも開いている間は他のアプリでスクショしても、UWORLDのアプリのそのセットの自分のデータが消え、さらにその会社に通知されますので、そのあたりは若干注意が必要かと思います(僕も不覚にも何度も消えました..)(泣)

 2300問くらいあった気がしますので、ペースにもよりますが1週目はかなり時間もかかり骨が折れます(泣)。繰り返し解いていくとどんどん早くなるので2週目からは楽になります^ ^
 比較的集中しても、ある程度マスターするなら、2ヶ月はみた方がよいかもしれません。

※ノート作成について

 対策用のノートを作るべきか、作らないべきかは意見の分かれる所かと思います。僕は結局作らなかったのですが、それは
  1. 2年の時に作ったノートが転用できた(例えば本学の生化学のH先生の授業は本当に秀逸で、そのノートはその後何度も見返すことになりました。)
  2. ノートに、またはノートを作った自分に満足してしまうおそれがあった
ためです。自分で作ったノートは見返す際に、どこに書いたかを覚えているために便利な辞書として機能して初めて実力を発揮するのであって、作る過程で覚えられることは
(だからといって書いても無駄だということではありません。僕はFAをノート代わりに内容を追加することで時間を短縮できるかなと思い、そうしました。)

3. Kaplan Q bank

 オススメ度:★★★★☆  目安: 2ヶ月

 僕は心配性なので解きましたが、少し試験とは違う方向性で、あまり効率良くないのでこちらに手を出す必要はないかもしれません。。重要な問題はUWorldとかぶっていることも多いです。
 Behavioural Scienceの範疇である、保険の種類(HMO/POS/PPOなど)や臨床試験など、公衆衛生の問題が多いので、そこを強化するにはいいですが、頑張ってメモを作り必死に解いたわけですが、まぁ全くと言って出ませんでした笑。
 ちなみに、写真にてFAの隣にあるQbookという昔の古い本の方は、今でもかなり使える知識があり、時間があればこちらを解くのはありかもしれません。結局、UWorldとKaplan Qbank (オンラインと本)は3-5回は復習したように思います。
 

4. Firecracker

 オススメ度:★★★★☆  目安: 1-2ヶ月
 単語帳のようなものなので人を選ぶ気もしますが、ネットで辞書のようにも使えるので便利です。1ヶ月無料体験できるのでそれで試してみるのが良いと思います。僕は試験3ヶ月前くらいから初めて1ヶ月程度の間、使用していました。
 全て合わせると、14000問程度あり細か過ぎる感はありますので、その辺は適宜取捨選択のが良いでしょう(特に解剖などは詳しすぎて非常にLow-yieldです)。そうすると慣れてくれば1日300-1000問程度解けるようになります。症例形式の問題ではないので、復習も同じ程度時間がかかることに注意。2-3週目をあまり丁寧にできなかったのが後悔ですorz
 

5. BRSシリーズ

 オススメ度:★★★☆☆  目安: 1-2ヶ月 
日本にあまりない分野(特にBehavioral Science)は対策本を読んだ方が良いと思います。BRSシリーズを様々な方からオススメされ、僕もオススメします笑。

6. NBME 

 オススメ度:★★★★★  目安:早めに一回、テスト数ヶ月前にから定期的に何回か受験
オンラインで受講可能なNBME模試は必須で、本番に本当に近い数字が出ます(最新のNBME17はとても難しいので、その点数はあまり参考になさらない方がよいです。僕は非常にショックをうけ数日立ち直れませんでした)

 ちなみに、複数の問題集を見ていると結構かぶっている内容があったりします。これはCBTを受ける4年生以上の学生の方なら、QBとこあかりの例えだと分かりやすいかもしれません。
 つまり、日本のCBT ー STEP1 (その心)として、
  • クエスチョンバンクとかけてUWorldととく
    →多くの学生が使っているので多数決の原理からもやる必要がある
  • こあかりとかけてKaplan Qbankととく
    →頻出問題はUWorldと同様に掲載、問題文が短く5秒で解ける問題も多い
  • リブロ, MACとかけて Firecrackerととく
    →深く突っ込んでいる部分もあり勉強としては面白いが深すぎてテストには出ず効率が決して良いといえない 
 (これらは完全に個人の見解によるもので、どれも問題集として素晴らしくいずれかを批判するものではありません)
※ 問題を解くにあたって
 それなりの点数を取るには何千問と解く必要があり、ヘタすると1万問を超えます。つまりそれだけの時間がかかるということなので、労力と時間に見合った勉強方法を確立する必要があります。やはり解き始める頃は頑張っても1日に50問というようになかなか思うように進まないですが、それでも効率良く解いて行きたいものです。そのために以下の2つが重要かなーと個人的には思いました。

 ■ 何回も解き直す=手を出し過ぎない
 分厚い本を読むより薄い本をしっかり覚えた方がよいなど、多くの方は聞いたことがあるのではないでしょうか。これは本当に真実で、Gray’s anatomy for student (2e)を2年生の時に読んだ際には、1日頑張っても70-80ページ程度で、最後の方の「鼻」に至った時には気力が尽きた覚えがあります。そうしてあまり覚えてなかったりするので、今思えば中途半端な思い出しか残らない非常に効率の悪い勉強法だったのかもしれません(そうでなかったかもしれませんが..これは希望的観測でしょう笑)。
 
 なので問題集をこなす際は、やはり3回目くらいからが本番だと思っています。何度も繰り返した問題は本番でも必ずとれます。

Glucokinase とHexokinaseの違いみたい? (ちょっと違うけど)

 ■ 準備し始めは焦らない
準備し始めはなかなか効率が悪く、やってて何の意味があるんだろうという自問自答ムードに入ることが誰でもあります。しかし、初めに地道に用意しておくと(図中橙)、初めから無駄に問題を解きまくる(図中青)より、最終的には高い効果を得られるような気がします。

 ■ 問題の解き方 
 いくら医学の試験とはいえ、試験は試験です。試験の形式に合わせた対策をすればそれだけでも点数アップを測ることができると思います。一例として以下のような解き方が便利かなと思いましたので書いておきます。
  1. まず、The 42 y/o M … のように性別と年齢を確認します。特徴的な場合はそれだけで鑑別が上がります。
  2. 最後の一文が質問形式(?など)であることが多いので、それを読みます。
  3. その次に5つの回答をざっと見て、どのシステムの疾患なのか、何に関する問題なのかを考えます。
     その際に例えばA. Galactose-1-P,  B. Glucose-6-Pなどとあれば生化学の問題、特に解糖系のはじめの部分やGalactosemia, Fructosemiaなどを聞くんだろう、じゃあ白内障や黄疸はあるかな?と推測しながら問題を読むことができます。しかも画像があれば一発回答できる可能性もあるわけです。このようにアクティブに問題を読むようにすると問題集を解く時も、試験中もより効率良く解くことができると思います。
  4. 最後に問題のなかほどを読みます。

付録:試験の持ち物
 あと試験日の持ち物についても良く聞かれますので、以下に載せておきます。ただ変更される可能性も大であり、責任はもてませんので、必ず確認してください!!とりあえず2016年2月現在では、自分は
  • パスポート  STEP1 Scheduling permit
  • 目薬
  • 耳栓(何もついていないシンプルなもの)
  • 手軽に食べられる間食
  • ポケットの少ない衣服を着用
を用意しました。要は基本的にパスポート/STEP1 Scheduling permitの2つがあれば試験が受けられるという、大変シンプルなものです。
あと必要だとすれば、
目薬
長時間パソコンの画面を見つめるのは本当に目が疲れますし、眼の疲れは集中力の低下につながります。僕の場合は試験が真冬で、試験1ヶ月前くらいからひどいドライアイになって視力も大分低下しました泣(涙は出ませんが)
皆さんも眼は大事にして上げて下さい。
私も本番は2種類の目薬を持参して休憩時間ごとに滝のように目薬を差していました。でも心なしかボディーチェックのスタッフさんがすごい優しくなった??笑

耳栓
イヤーマフラーはもらえますが、耳栓をして二重防御にしました。快適。

ポケットの少ない衣服
ボディーチェックの際に全部ポケットを裏返す必要があるためです。(ポケットの数)×5 (sec)くらい延長すると考えましょう。

手軽に食べられる間食
昼ごはんでがっつり食べるよりは休憩時間1時間を6回の休みで少しずつ(5-10分くらい)とるのがオススメです。集中力の低下を防げます。

と大げさ(?)に長々と書いてしまいましたが、僕もこの3年間ほど様々なブログにを拝見させて頂きとても参考になったので、一つでも多いほうがよいかと思い忘れないうちにということで書いておきました。もし間違い、修正すべき点その他ご意見ありましたら、ぜひコメントをお待ちしてます〜 
そんしゅう

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