2016年6月6日月曜日

Pain medicine @ MGH その1

初投稿です。Keigitoと申します。
ちなみにこのニックネームはスペイン語によるもので、名前 + -ito(-ita)で「~ちゃん」というニュアンス。面白くて気に入っています。笑

今週からは2つ目のローテーションであるRadiology (Brigham and women's hospital)が始まりました。怒涛のレクチャー・ブリガム学苑で知識がブラッシュアップされたところです。

私は5月にMassachusetts general hospital (MGH)Pain medicine4週間実習をしていましたので、その内容を報告します。

概要
Pain medicine(ペインクリニック)とはなんでしょうか。私もシラバスでこのelective course(選択科)を見たときは「緩和医療とは何が違うのかな?」と思いました。
 Pain medicineDepartment of Anesthesiaの一部門で、疼痛の緩和を目的として薬物療法のほか神経ブロック・トリガーポイント注射といった処置、理学療法を組み合わせた治療を行っています。緩和医療は癌などによる疼痛を含めた様々な症状を和らげる目的としているのに対し、ペインクリニックはもっぱら疼痛を扱っています。扱う疾患としては、1か月間の実習では脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアといった整形外科疾患、頭痛、三叉神経痛、多発筋痛症、複合性局所疼痛症候群などを目にしました。術後の急性疼痛への介入も行っています。
 モルヒネなどの医療麻薬も使いますが、脊柱管狭窄症などの神経障害性疼痛には効きにくいとされていることと、依存形成の問題もあり、外来ではなるべく処方を避けるか短期間の処方にとどめ、どうしても長期間必要そうな場合は薬剤をローテーションしていました。一方で術後の疼痛に対しては、日本と比較して医療麻薬がよく使われている印象でした。

実習内容
私は4週間のうち3週間を外来、1週間をAcute pain service(院内コンサル)で過ごしました。
まず外来ですが、チームが2~3個あり、それぞれAttending 1名、Fellow 1-2名、Resident 0-1名の構成で、プライマリケア医などから紹介されてくる患者さんの診察や、再診患者さんのフォローアップにあたっています。私のやっていたこととしては、毎日いずれかのチームに所属し、新患・再診合わせて毎日15-20名の患者さんの診察に立ち会いました。外来はまずFellowResidentが患者さんへのファーストタッチを行い、報告を受けたAttendingが患者さんと治療方針を確認するという流れでした。新患が来た時には、私も参加して予診聴取・身体診察・Attendingへの報告を行いました。こういったことは大学の派遣前トレーニングで練習していたので、最初はドキドキだったものの、ある程度自信を持って(取り繕って?)患者さんと接することができました。
外来は8時から始まり、昼の休憩時間をはさんで17時前まで予約枠があるので、実習時間もそれに合わせたスケジュールです。合間の時間には上級医への質問やカルテの確認をしていました。朝や昼間にはResident向けの麻酔科レクチャーに参加する機会がありました。最終週には、Pain medicineに関して興味を持ったトピックを一つ選んでスタッフの先生方の前で発表を行い、フィードバックを頂きました。

外来
8:00
外来開始
12:00
休憩
13:00
午後外来
17:00-18:00
終了


Acute Pain Serviceは、各科のコンサルテーションを受けて入院患者さんの術後の急性疼痛などに介入を行っているチームです。こちらでは患者さんを直接は担当しませんでしたが、Attendingについて毎日朝の回診を行い、入院患者さんの疼痛の状態を確認しました。新規のコンサルトを受けた時にはそれに同行しました。Attendingから麻薬などについてのミニテクチャーもありました。

Acute Pain Service
8:00
当直医からの引き継ぎ
8:30
回診
11:00
回診後の報告、新規のコンサルト、カルテチェックなど
16:00
終了


ほかにPain medicineからコンサルテーションを受けている精神科の先生の外来を見学する機会もありました。疼痛緩和に使われる精神病薬の調整や薬物依存への対処、患者の精神科的問題への介入の様子を見学しました。枠が少ないこともあり、この外来の見学は4週間を通して2回だけでしたが、大変印象深いものとなりました。

ここまで実習の概要を書いてきました。見返すと文字ばかりになってしまいました、見づらいですね…。
記事をもう一つくらい使って、実習で感じたこと、ここで実習をして良かった点などを書いていきます。(つづく)

文責 Keigito


pain medicineも入っているWang ambulatory care centerの外観。
すぐ後ろに
Ether domeがあります。
Bulfinch Building
この中央最上階の部分が、世界で初めて吸入麻酔下手術の公開実験に成功したEther domeです。
平日の使用されていない時間帯は公開されており、不定期のツアーで訪れることもできます。
ちなみに医科歯科の建物にはその手術を描いたレリーフがあります。

Ether dome内部。
かかっている絵画は歴史的麻酔を再現したもの。








0 件のコメント:

コメントを投稿